2009年7月2日木曜日

制約

 A3に手を入れるにあたり、自分の中でひとつだけ設けている制約が、「純正状態に戻せない改造は、しないこと」です。

 これまでに、エンジン換装・インジェクション化やアクスルスワップなど、このA3にはそれなりに手を入れてきました。しかしいずれも車体側の加工はできるだけ控え、原則としてボルトオンで装着できるよう、組み込むコンポーネント側を加工するようにしています。細かなものを挙げれば、ダッシュパネルをアルミ板で作り直しているのも、純正のパネルに追加メーター用の取付穴をあけたくなかったことが一因です。唯一、大きく垂れ下がっているサイドシルだけは耐えきれず、切り落としてしまいましたが、その他についてはいつでもノーマル状態に戻すことができるよう、配慮しながら作業しているつもりです。
 
 くだらないコダワリと言われてしまえばそれまでですが、その理由は2つあります。
 
 ひとつは、一応これでも希少車であるということ。A3自体は千の単位で生産されている“量産車”なので、改めて入手することは不可能ではありません。ただし、現在作業をしているガソリンモデルについては、極初期に20台前後が生産されたのみで、他の個体の在処については把握していません。さりとて希少価値があるのか…と問われれば、返答に窮するところですが、後戻りできない改造をすることには、どうしても躊躇いがあるのです。
 そしてもうひとつが、原型を留めない改造をしてしまっては、あえてA3を選択した意味を失ってしまうからです。とりわけ前後Aアームのサスペンションレイアウトを変更することは、A3のアイデンティティを否定することにもなりかねません。A3のサスペンション、しいてはA3が必ずしもベストだとは思っていませんし、根本的に手を入れたい部分もあるのですが、自ら設けた制約の中で知恵を絞り、作業をしていくことが、私なりのA3との付き合い方だと思っています。

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