2009年7月31日金曜日

3セット目のハブボルト

 CJ7のフロントブレーキローターは通常とは異なり、ハブフランジの裏側(デフ側)に固定されます。ローターは頻繁に取り外しするものではないので、日常整備では問題ないとはいえ、決して望ましい構造ではありません。

 というのも、ローターを交換する度に、ハブボルトを抜くことになるからです。国産車のブレーキローターはさして摩耗しませんが、輸入車のものは完全に消耗品で、車種によっては5万km程度で摩耗限界となるものもあります。その度にハブボルトを打ち替えるとなると、長期的に見てハブのセレーション勘合部が緩くなることが、懸念されるという訳です。
 実際に私のCJ7のアクスルは、恐らくは過去1度ローターが交換されており、ハブボルトも社外品に打ち替えられていました。つまり、今回のオーバーホールで打ち替えたハブボルトは、新車時のものを含めると(最低でも)3セット目のものとなります。

 今回は、新品のハブボルトを用意して打ち替えたのですが、案の定2本ほど少し「緩く」感じるものがありました。まだ「ともまわり」や「ガタ付き」を心配する程ではありませんが、次回あるいはその後のローター交換時には、ハブも併せて交換することになりそうです。

 もっとも最近の乗用車は、ハブベアリング単品での補修部品設定がなく、ハブAssyでの供給が通常となりつつありますが…。

2009年7月29日水曜日

要修理

 ディスコの車検整備が終わって一息ついていたら、立て続けに身の回りのモノが不調に…。

要修理・その1>
 仕事でメインに使用しているMacが、昨晩より激しく不調です。
 調子の悪いハードディスクを残していたのが原因か、トラブルが波及し、全く仕事になりません。
 とりあえずは別のハードディスクにOSを再インストールして仮復旧しましたが、バックアップしていなかったデータ(幸いにして僅かですが)の救出は、かなり厳しそうです。

要修理・その2>
 仕事部屋のエアコンも故障。よりにもよって、勝手に暖房運転になってしまいます。
 症状からすると、室外機内にある四方弁の不具合でしょうか?

要修理・その3>
 某官公庁の依頼により、我が家に設置している某機器。必要なデータが記録されておらず、本体の電源が落ちているとのこと。
 故障が疑われましたが、こちらも手を貸してトラブルシュートしたところ、何のことはない、コンセントの接触不良が原因でした。ロック付コンセントに「差しただけ」の状態だったようで、いくらUPSがついていても電源が供給されずに干上がってしまえば、万事休す。施工業者のミスですね。


追記:エアコンは室外機の基盤不良のようで、四方弁に常時200V出力(暖房モード)していました。トラブルシュートの途中で、完全に昇天されたようで、電源すら入らなくなりました。
とりあえず基盤を手配・交換してみますが、果たして幾らするのか?

2009年7月28日火曜日

続 車検整備

 引き続き、下駄車の車検整備ネタで。

 前回の車検時に指摘されたのが、ヘッドライト。それも光軸ではなく光量不足、でした。輸入車の中には、日本の光軸測定方法と相性の悪い個体もあるのですが、ウチのディスカバリーの場合は単純に電圧低下が原因でした。トラブルシューティングの過程で、ヘッドライトにつながるカプラー部の端子電圧を測ると10.5〜11V程度しか出ておらず、バッテリー電圧に比べ1.5V程ドロップしていたので、光量不足となって当然でしょう。

 英国貧質の電装を疑い出すとキリがないので、解体車から外しておいたリレーハーネスキット(二昔前に流行ったアレです)を組んで対処したのですが、またしても今回、光量不足を指摘されました。原因は明らかで、左側のヘッドライトリフレクターに発生した錆、です。
 水が溜まりやすい下側だけではなく、全面に錆が広がっていたので、以前から気になってはいたのですが、ヘッドライトユニットを交換すると光軸調整しなくてはならないので、車検時まであえて手を付けないでおいたのです。

 そんなこんなで、中古良品のヘッドライトユニットを用意していたので、念のため左右ともに交換し、光軸を再調整。無事、新たな車検証を手に入れることができました。

2009年7月26日日曜日

車検整備

 といってもA3ではなく、下駄車のディスカバリーです。

 ノーマル状態で乗っているので、車検で心配すべきは、もっぱら各部のヘタリや経年劣化です。
 2年前にはエンジンとミッションを中古良品へと載せ替え、ナックルまわりも整備済。さらに昨年シリンダーヘッドをO/Hしたりと、そこそこ手を入れてきたにも関わらず、各部を点検すると、案の定油漏れが散見されます。社外の補修部品は確かに安いのですが、ことゴム部品の品質(耐久性)については疑わざるを得ません。

 それはさておき、サブマフラーの腐食穴を補修しようと、改めて点検してみると、もはや溶接で切り貼りできる状態にはありませんでした。対策を考えること30秒、とりあえずサブマフラーを切り落とし、エンジンを始動してみることにしました。
 結果、メインマフラーの容量が大きいためか、はたまた穴の開いたサブマフラーの消音効果が失われていたためか、騒音はほとんど変化しなかったので、サブマフラーを適当なパイプに置き換えることに。材料のストックを見ると、少々径の合わないパイプしか見あたらなかったので、一方の径をエキスパンダーで拡げて辻褄を合わせ、強引に溶接。ものの30分で修理完了です。

 何ともテキトーな整備ですが、とりあえず走れれば無問題です。下駄車なので。

2009年7月25日土曜日

ダストカバー

 キャリパーアダプターブラケットが仕上がったことで、ようやくダストカバーの現物合わせをすることができました。

 アダプターブラケットは、CJ7純正のキャリパーとほぼ同じ位置に4ポッドキャリパーを固定できるように、設計しています。このため、CJ7のローターダストカバーを合わせてみると、キャリパーを逃がすための切り欠きを僅かに拡大することで、そのまま使い回すことができました。ダストカバーを取り付けるとアダプターブラケットが見えなくなり、4ポッドキャリパーが純正然としていて、好ましい仕上がりです。
 研磨したローターを仮装着したついでに、ダイヤルゲージでローターの振れを確認してみました。ハブフランジまわりの精度によるものか、0.15mm程度の振れが見られましたが、実用上問題ではないでしょう。

2009年7月23日木曜日

キャリパーアダプターブラケット完成

 機械加工を依頼していたフロントブレーキのキャリパーブラケットが、懇意にしている加工屋さんから仕上がってきました。CJ7のアクスルに、RX-7の4ポッドキャリパーを装着するためのブラケットです。

 ブラケットは左右共用なのですが、ひとまず片側(1個)分を製作してもらいました。形状と強度を考慮した結果、S50Cで材質指定したので軽くはありませんが、安全を得ると思えば許容できる程度でしょう。
 ブラケットをガレージに持ち帰り、早速アクスルに装着してみました。先日研磨したばかりのローターと、4ポッドキャリパーのクリアランスは、狙い通り。採寸や図面作成時のミスもなく、ボルトオンで装着できます。問題ないことを確認したところで加工屋さんに電話して、残る片側の製作を依頼しました。

 制動力やブレーキタッチがどうなるかについては、実際に走り出す時まで分かりませんが、フロントブレーキキャリパーの4ポッド化は、ひとまず完成を見た形です。

 モチベーションが高まったところで、リアディスク化についても本腰を入れて取りかかるとしましょう。

2009年7月22日水曜日

ローター研磨

 A3で使用するフロントブレーキローターを、研磨してもらいました。

 このローターは、流用するCJ7のフロントアクスルについてきたもので、摩耗は皆無であるものの表面の錆が酷く、そのままでは使用できなかったものです。
 コストを考えれば、新品ローターを買うという選択肢もあったのですが、対向キャリパーはジャダーが出やすく、またパターンパーツの中には品質面で「?」なものもあるので、むしろ入熱済のものを研磨して使う方がベターだと判断しました。

 専用のローター研磨機に掛けると、案の定歪み(振れ)が見られ、均等に削れていきません。サーキット系の方が一度走って熱を入れたローターを研磨してから実戦使用したり、熱処理済の製品を使用する理由が、見て取れます。
 興味深かったのは、ベンチレーティッドディスクの場合、ホイール寄りの側面の方が表面が硬く、削れないこと。この傾向は全車共通とのことで、使用過程における放熱性(=焼きの入り具合)の差に起因するもののようです。一部アフターマーケット製のローター(オンロードカー用)には、ハット外側からの通風を確保する構造とした「逆ベンチタイプ」と呼ばれるものもありますが、実際の表面硬度がこれだけ違うのですから、一定の効果は期待できるかも知れません。

 それはともあれ、湿度の高い時期だけに、研磨済のローターを先ほど取り出してみたら、すでに錆が浮いていました。軽く塗装し、養生しておきましょう。

2009年7月21日火曜日

戻ってきました

 束の間の逃避行から、戻ってきました。

 涼しい環境で仕事をしつつ静養…のハズが、仕事の打ち合わせに出掛けたり、はたまたジムニーの整備をすることになったりと、なんとも代わり映えのしない数日間でありました。

 家族で沢遊びに出掛けた帰り道、人里離れた山の中で突如SJ40が不調に。ガス欠症状だったので、ジェリ缶から燃料を補給するも、症状は改善されず…。犬を載せるために工具を降ろしてしまっていたので、現場修理もままなりません。しょうがないので、だましだまし走らせることとし、かろうじて山の家に帰還することができましたが、あやうく「とんだ家族サービス」になるところでした。

 ちょうど良い機会だからと、軽くキャブをO/Hしてみましたが、案の定症状は消えません。そこで燃料フィルターを新品に交換したところ、解決をみました。過去1度燃料フィルターが交換されており、外観からはさして汚れているようには見えなかったのですが、抵抗となっていたようです。こんなこともあろうと、グローブボックス内に汎用の燃料フィルターを投げ入れておいたのが、役立ちました。

 整備終了後、近場の廃道を軽く走ってきました。キャブをO/Hしたエンジンは吹け上がりも良く、久々の廃道を堪能できたので、結果オーライと致しましょう。

2009年7月15日水曜日

逃避行

エアコンのスイッチを入れずに、今日まで耐えてきましたが、 そろそろ限界です。


…1週間ばかり、仕事を抱えて山へ逃げてきます。

さりげない逸品

 先日、知人から頂いてしまったブレーキパイプ用のベンダー。一見すると「パイプベンダー」と呼ぶのがはばかられるような工具なのですが、これが使ってみると、実に具合のよい逸品でした。

 一般的な支点を2カ所に設けた小径パイプ用のベンダー(写真右)は、安価なものも含め広く普及していますが、思いの外使いづらいのです。特に困るのが、仕上がり後の曲げ方向が予想しづらいことで、一発で曲げ方向が決まった試しがありません(私だけ?)。
 もちろん管径が大きくなれば、この手のベンダーでないと力が入らず、曲げることさえ苦労しそうですが、ブレーキ用の鋼管程度であれば、そこまでの必要はないでしょう。
 そんな折、ブレーキパイプのフレア加工の為、ガレージにお越しになった知人が持っていたのが、何ともシンプルなパイプベンダー(写真左)。曲げRをつけるための円盤部に、支点となるダボを設けただけの、至って簡素な構造ですが、これが実に使いやすい。仕上がり後の曲げ方向が分かりやすく、曲げの直後に違う方向へ再度曲げる、あるいはループ状に曲げるといった、複雑な形状にも対応しやすいのです。また、表面と裏面では曲げRが異なるので、込み入った部分の製作で重宝しそうです。
 残念ながらメーカーのハスコーのウェブサイトにはリストされておらず、すでに絶版のようですが、この構造からして自作するのも難しくないでしょう。

 ちなみにM38をレストアしている、この知人曰く「パイプベンダーを使うと綺麗に曲がりすぎて、新車時のいい加減な曲げ形状を再現できないから、この工具はイラナイ」そうです。

 改めて深謝。

2009年7月14日火曜日

ホームセンター徘徊

 MonotaROを常用する当方にとって、ホームセンターは資材の調達より、むしろツクリモノや流用のヒントを求め、徘徊する場所となりつつあります。

 最近の徘徊の成果といえば、トランスミッションのシフトレバーです。トランスファーレバーに比べシャフト径が細いのが気に入らなかったので、どうせならと長さを調整式とし、汎用のノブ(工業用の握り玉)が装着できるように、作り直すことにしました。
 旋盤で丸棒から削り出すという方法も考えられますが、質量が大きくなり過ぎるとギア抜けやチェックボールスプリングのヘタリの原因になるため、今回は丸パイプを使用し中空構造とすることにしました。

 材料を求め、ホームセンターを徘徊すること小一時間。探し出した材料は「白ガス管」と「メカニカルアンカーボルト」です。外径14mmのパイプはホームセンターに置いてなく、20〜30cmしか使用しないのに鋼材屋で定尺を1本買うのも無駄なので、ホームセンターの水道配管売場でφ13.8mmのいわゆる白ガス管(8A)を調達。
 しかしそのままではM12の雌ネジを切れないので、溶接して使える雌ネジが切られた円筒状の部材を求め、再びホームセンター内を徘徊。高ナットでは見栄えが悪いので、建築用のメカニカルアンカーボルトを切断して使用することにしました。
 適切な長さに切断した白ガス管とメカニカルアンカーボルトをTIGでなめ付けし、塗装。あらかじめ調達していた握り玉をつけると、原価数百円とは思えないシフトレバーが完成しました。気になる質量も、ノーマル(中実)と変わりません。

 結果を書いてしまえば、たわいないものですが、こうした流用は材料を探し出すまでが手間でもあり、それを見つけ出した時の嬉しさが、醍醐味といえるかも知れません。

2009年7月13日月曜日

プロポーショニングバルブ

 週末はガレージで、細かな作業を少し進めました。

 リアディスク化の目処が何となく立ってきたので、モチベーションを高めるためにも、ブレーキのプロポーショニングバルブを装着してみました。私のA3には、元々プロポーショニングバルブが存在しないのですが、ブレーキの変更(フロント:2ポッド→4ポッド、リア:ドラム→ディスク)を見越して、前後のブレーキバイアスを調整する目的で、あらかじめ装着したという訳です。

 今回装着したのは、レース車両等に用いられる、調整式のプロポーショニングバルブです。サーキットユーザーには、瞬時に変更できるレバー式の方が人気のようですが、今回の使用目的はあくまでブレーキシステム変更に伴うバランスの適正化にあり、頻繁に調整することはないので、リーズナブルなスクリュータイプの方がむしろ適していると思います。
 もちろん、他車の純正品(固定式)のプロポーショニングバルブを流用するという方法もありますが、当然ながら純正品は前後バイアスが固定式(変更できなくはないですが)のため、果たして私のA3に合うかどうかは、運次第。あれこれ悩むことを思えば、むしろ調整式を装着する方が手っ取り早いような気がします。

 なお、リアに使用するキャリパーとローターは、ブレーキのプロポーショニングについても意識しながら、選定をしています。

2009年7月10日金曜日

サイレンサーの選定

 現在予定している排気管の取り回しで、鍵となるのが、サイレンサーの位置。グランドクリアランスを最優先すると、右前席直下のわずかなスペースに押し込むしかないのです。

 三菱ジープ50系に例えるなら、「お道具箱」の場所にサイレンサーを置こうとしている私のA3では、天地方向に薄いサイレンサーを選択する必要があります。実は随分と以前に、ちょうど具合のよいサイズのサイレンサー(スチール製)を入手していたのですが、その後予定を変更し、排気管をステンレスで製作することにしました。そのため、新たにステンレス製のサイレンサーを買い直すことになった訳です。
 先に記したように、隔壁構造のサイレンサーが一般的となっているアメリカでは、サイズや形状も豊富に用意されているため、希望のサイレンサーを見つけることは、さして難しくありません。MAGNAFLOW社のラインナップでは、外寸やパイプ径のみならず、in/outパイプのオフセットも選択でき、しかもサテン仕上のタイプであれば$70、バフ仕上でも$90というリーズナブルな実勢価格は、さすがアメリカというほかないですね。

 使用を予定しているサイレンサーは、天地方向の高さが4インチのオーバル型のものですが、in/outパイプのオフセットについては、まだ確定していません。何分スペースがタイトなので、使用するパイプの曲げRと相談しなくてはならないのですが、ダウンパイプの取り回しも決定したことですし、円高が進んでいる今のうちに発注をかけてしまいましょう。

2009年7月8日水曜日

ダウンパイプ製作

 時間ができたのでガレージに出掛け、少しだけ作業を進めてきました。

 エキマニ部分が完成したので、それに続くダウンパイプ部分の製作に着手しました。流れとしては、右前のホイールハウス下端で1本にまとめた排気管を、右前席フロア下へと取り回すのですが、ボディマウントのステーを回避する形状にする必要があります。
 オフロード走行を考えると、できるだけグランドクリアランス(スキッド性)を確保したいので、フロアパネルやボディマウントステー、リーディングアームとのクリアランスを最小限とし、パイプの取り回しを決めていきます。この部分に使用するパイプの径については、プロフェッショナルな方のアドバイスに従い、φ50.8mmを選択。U字型の曲げパイプを二分割して組み合わせることで、望み通りの形状とすることができました。
 時間の制約から、点付けしたところで作業終了となりましたが、フレキシブルジョイントを入れる位置も見えてきました。サイレンサーの手配とともに、排気管の固定方法や固定位置の検討も、進めていきましょう。

2009年7月7日火曜日

ウインチのショートドラム化

 在庫ウインチの「納品前整備」を行ったついでに、過去のネタを。

 私のA3は、エンジンルーム内(フロントアクスルの真上)に、電動ウインチ(WARN M8000)を装着しています。ウインチ本体がクロスメンバーを抱える形で固定してあるのですが、フレーム内幅に対してウインチの全幅の方が広く、無加工では装着できません。いや、正確には装着はできるかも知れませんが、ドラムのセンターが出せないのです。
 WARNのラインナップには、通常モデルよりドラム幅が100mm狭いショートドラム(M6000SDP)もありますが、これはポータブルマウントでの使用を想定したもの。ここまで幅が狭い必要はありませんし、何より新品を買い直すのは…、エコではありません。

 という訳で、M8000のドラムを切り詰めてみました。元々WARNのウインチドラムは溶接で組み上げた構造なので、ギアが溶接されていない方を切り詰めれば強度的にも問題なく、ドラム軸脇の溶接ビートを旋盤で削り落とせば、ディスク形状の部材も再利用できます。フレームの内幅に合わせる形で、2-1/4インチ(約57mm)切り詰めたので、通常のM8000とM6000SDPの中間のようなドラム幅となりましたが、ファイバーロープであれば25mは巻けますので、実用上は充分だと思います。
 ただし、ドラム幅を切り詰めるとフェアリードとの辻褄も合わなくなるため、こちらも併せて加工しなくてはなりません。ファイバーロープを巻くので、アルミ製のハウズフェアリードを新たに製作するという方法も考えたのですが、すでに通常のドラム幅用のアルミフェアリードが手元にあったので、物は試しに溶接で切り詰めてみることにしました。
 切断したフェアリードを、作業台にしっかりと固定して歪みを抑えながらTIGで溶接。ビートを削り落として仕上げると、切り継いだ跡はほとんど分からなくなりました。

 このような「さりげない加工」って、結構好きだったりします。

2009年7月6日月曜日

リアディスク化へ 9

 このところ、排気管の製作に没頭していますが、作業の合間を見てリアディスク化の検証も進めています。

 リアアクスル端のリテーナの構造を見ようと、ハブベアリングを固定しているリテーナリングを削り落としました。しかし、手持ちのベアリングスプレッダでは、ハブベアリングが抜けず…。
 どのみちベアリングは新品に交換することになるので、壊しながら抜いても良かったのですが、キャリパーブラケットを製作するにあたって位置合わせに使いたいので、できれば破壊したくなかったのです。というわけで、作業は一時中断。

 そんなこんなで、リテーナの正確な採寸ができなかったので、断面形状を整備書で確認。それをもとに、使用予定のキャリパーとローターを装着した状態を、CAD上で仮にシミュレートしてみました。
 キャリパーの固定部には、若干のワッシャを追加し微調整するようですが、アクスルシャフトのエンドプレー調整に伴い、ローターとキャリパーの位置関係も変化するため、むしろワッシャーで調整できる構造となるのは、好都合です。
 
 結果として、リテーナ一体構造のキャリパーサポートブラケットを製作すれば、問題なく装着は可能という、一定の結論が得られました。しかしブラケットの構造が複雑になると、コストの上昇は避けられません。もう少し構造を簡略化できないか、更なる検証をしてみましょう。

2009年7月5日日曜日

エキマニ完成

今日は集中力に今ひとつ欠け、作業もあまりはかどらず。
…そういえば朝から何も食べていなかったな。


 とりあえず、排気管の「エキマニ」部分を組み上げました。
 タイヤとの干渉を避けるため、急遽右ホイールハウス内で1本にまとめたのですが、ほぼ管長を揃えることができました。ビートの揃いは相変わらずイマイチですが、限られたスペースの中で脱着性を確保しつつ、等長とすることができたので、まあ良しとしましょう。

 サイレンサーまでの間は、プロフェッショナルのアドバイスに従い、φ50.8のパイプを使用することにしました。ステンレスのエキマニはクラックが入りやすいので、せめてもの対策として、途中にフレキシブルジョイント(いわゆるジャバラ)を入れてみます。

 テールエンドまでの取り回しも、スペースの制約から複雑なレイアウトを採らざるを得ないので、すべてが仕上がるまでには、まだ時間が掛かりそうです。

2009年7月4日土曜日

フレアリングツール

 今日はM38をレストアしている知人が、ガレージにお越しになりました。来訪の目的は、ブレーキパイプのフレア加工です。

 自動車のブレーキラインに用いられている、二重鋼管のブレーキパイプは、ダブルフレア加工する必要があり、専用のフレアリングツールが自動車工具店等でも販売されています。しかし、一般に市販されている簡易型のフレアリングツールでは、仕上がりが今ひとつで、とりわけ鋼管を綺麗に加工するには無理があります。
 この手のフレアリングツールに懲りたことで、以前アメリカから輸入したのが、マスタークール社製のフレアリングツールです。

 マスタークール社製のフレアリングツールは油圧式のため、加工に力が不要で、差替式のダイスでしっかりとパイプを固定して加工するため、首が斜めになる、あるいはパイプがずれるといった失敗がありません。仕上がり精度も高く、ダブルフレア以外にバブルフレアやプッシュコネクター、GMフューエルラインアダプターといった形状のフレア加工も可能で、フレアリングツールの決定版といっても過言ではないでしょう。
 このフレアリングツールを入手する前に、国産工具メーカーで同等品がないか探したのですが、唯一設定のあるハスコー製はベーシックモデルでも5万円、上級モデルとなると20万円もすることが分かりました。しかも汎用性のないブレーキラインの加工専用であったため、購入を見送った経緯があります。またスナップオンのカタログにも、このマスタークール社製のフレアリングツールが掲載されているので、国内のバンセールスから買うこともできるようですが、怖くて値段が聞けません。
 現在使用しているマスタークール社製のフレアリングツールは、アメリカの工具屋から35,000円程で取り寄せた記憶がありますが、内容を考えると割安だと思います。簡易型フレアリングツールの“実力”をご存じの方なら、価値をお分かり頂ける逸品だと思いますが、とはいえ改めてこの工具の使用頻度を考えると、なかなか元を取るのは難しそうです。

 M38のブレーキパイプも綺麗に仕上がり、お礼代わりにとツナギを頂きました。多謝。

2009年7月3日金曜日

SAEハンドブック

 A3のワークショップマニュアル(整備解説書)の要所要所に出てくる、「SAE××××」という表記。私事ながら、仕事として携わる※※※とか○△□の設計図面でも、しばしば目にするものです。

 ご存じの方も少なからずいらっしゃると思いますが、SAEとは、Society of Automotive Engineers Inc. (ソサエティ・オブ・オートモーティブ・エンジニアズ・インク)の略で、自動車に限らず船や航空機等の輸送機器の標準規格を制定している、アメリカの団体です。このSAEの標準規格化の範囲は多岐に渡り、例えばユニバーサルジョイントやヘッドライトのサイズ、あるいはメーターのイラスト表記についても、きちんと規格として定められており、固有の規格番号が与えられています。
 こうしたSAE規格についてまとめたものが、イヤーブックとしてSAEからリリースされている「SAEハンドブック」です。一度内容をじっくりと見てみたいのですが、自動車用のCD-ROM版でも$595と、とても興味本位で買える金額ではありません。またさすがにこのレベルの書籍になってしまうと、国内の図書館でも所蔵しているところは限られ、東京近辺だと国会図書館まで出掛けて閲覧するしかないようです。

 そこでamazon.co.jpで検索してみると、新本は無理だとしても、マーケットプレイスで10年ほど前の中古本が、1/10ほどの金額で手に入ることが分かりました。趣味として使う分には、10年前のものでも不足はありません。まあ、クルマを設計する訳ではないので、買ったところで「知識欲を満たす」程度の用途しか思い浮かびませんが、他車との部品互換性や、流用の可能性を探るのに、役立ちそうな気もします。

 そのうち手に入れたい、1冊です。

2009年7月2日木曜日

制約

 A3に手を入れるにあたり、自分の中でひとつだけ設けている制約が、「純正状態に戻せない改造は、しないこと」です。

 これまでに、エンジン換装・インジェクション化やアクスルスワップなど、このA3にはそれなりに手を入れてきました。しかしいずれも車体側の加工はできるだけ控え、原則としてボルトオンで装着できるよう、組み込むコンポーネント側を加工するようにしています。細かなものを挙げれば、ダッシュパネルをアルミ板で作り直しているのも、純正のパネルに追加メーター用の取付穴をあけたくなかったことが一因です。唯一、大きく垂れ下がっているサイドシルだけは耐えきれず、切り落としてしまいましたが、その他についてはいつでもノーマル状態に戻すことができるよう、配慮しながら作業しているつもりです。
 
 くだらないコダワリと言われてしまえばそれまでですが、その理由は2つあります。
 
 ひとつは、一応これでも希少車であるということ。A3自体は千の単位で生産されている“量産車”なので、改めて入手することは不可能ではありません。ただし、現在作業をしているガソリンモデルについては、極初期に20台前後が生産されたのみで、他の個体の在処については把握していません。さりとて希少価値があるのか…と問われれば、返答に窮するところですが、後戻りできない改造をすることには、どうしても躊躇いがあるのです。
 そしてもうひとつが、原型を留めない改造をしてしまっては、あえてA3を選択した意味を失ってしまうからです。とりわけ前後Aアームのサスペンションレイアウトを変更することは、A3のアイデンティティを否定することにもなりかねません。A3のサスペンション、しいてはA3が必ずしもベストだとは思っていませんし、根本的に手を入れたい部分もあるのですが、自ら設けた制約の中で知恵を絞り、作業をしていくことが、私なりのA3との付き合い方だと思っています。

2009年7月1日水曜日

隔壁構造のサイレンサー

 排気管を製作するための材料は、比較的入手しやすくなりましたが、国内ではどうしても揃わないものがあります。それが、隔壁構造のサイレンサーです。

 アフターマーケットの排気管を見ると、一般的にストレートタイプのサイレンサーが好まれ、隔壁構造のサイレンサーはほとんど用いられていません。このストレートタイプのサイレンサーは、入口と出口がストレートのパンチングパイプで結ばれ、グラスウール等で消音効果を得るもので、いわゆる「抜けの良さ」が特徴とされています。
 もちろん、ターボ車などでは「抜けの良さ」が効果的に働く場合もあるでしょうし、ストレートタイプのサイレンサーの使用を前提とした排気管構造にすれば、排圧のコントロールも可能でしょう。しかし、クロカン車で低回転域のトルクを比較的容易に得るには、隔壁構造のサイレンサーに勝るものはないと思います。また、メーカー純正の排気管が、ほぼすべて隔壁構造のサイレンサーを採用していることからも分かるように、消音効果や耐久性の面でも有利なのは、間違いありません。
 冒頭で記したように、この隔壁構造のサイレンサーを国内で入手すること(マフラー製作の材料として個人が入手すること)は極めて困難なのですが、アメリカではむしろ一般的で、数多くの製品が販売されています。仕上がりに関しては、アメリカンな部分が多々あるにせよ、サイズも豊富で何より安価なのが魅力です。

 手元にある隔壁構造のサイレンサーはスチール製のものなので、近々同サイズのステンレス製のものを買い直し、A3の排気管に組み合わせる予定としています。