2010年7月18日日曜日

JB23の全構成部品

 しばらくWeblogが放置状態になっていた理由は、コレです。

 パーツカタログに準じてJB23を完全分解。前回のエントリーで、「並べるだけで丸1日掛かりそう」などと記していましたが、現実は厳しかった…。実際には、2人掛かりで丸3日を要しました。

 ジムニー史上初と思われる全分解画像、詳細は今秋発売予定の「ジムニーJB23パーフェクトメンテナンス誌」をご覧下さい。

2010年5月28日金曜日

ジムニー・JB23の構成部品

並べてみると、意外と多いものです。

来月にはすべての部品を完全に分解し、改めて撮影する予定(今回はそのための「予行演習」)ですが、並べるだけで丸1日掛かりそうな予感が…。

2010年5月23日日曜日

ベアシャーシ3題、いや3台

 MT×2台とAT×1台、計3台のJB23を分解しながら、取材を進めています。

 ちなみにJB23のボディは、3〜4時間もあれば降ろすことができます。単純にボディを脱着するだけならば、作業的には旧世代のジムニーより楽ですね。

2010年5月17日月曜日

告知用チラシ

当方が編集責任者として携わっている、JB23パーフェクトメンテナンス誌。

当初の予定より大幅増頁な方向で、今秋の発売に向けて現在制作中です。

2010年5月15日土曜日

一本吊の成果は

 先日の玉掛けを伴う撮影、このような画が得られました。舞台裏を明かさなければ…、吊って撮ったとは分からないでしょう。

 パース(遠近感)をつけずに、クルマのアンダーシャーシを撮影するというのは、容易なことではなかったりします。

2010年5月13日木曜日

連休は

 2日ばかりコランドーの解体に勤しみました。
 
 韓国製ジープとはいうものの、パワートレインは基本的に米国製。CJ7にほぼ準拠した構成内容でしたが、完全に同一ではないようです。

 摘出した部品の一部は、「価値の分かる同志」が関東土産としてお持ち帰りになりました。


※解体作業は自動車リサイクル法に則り、実施しています。

2010年5月7日金曜日

一本吊

 JB23の解体…ではなく、ベアシャーシの撮影風景であります。



※玉掛け作業は有資格者が実施しています。

2010年4月29日木曜日

エアクリーナーケースの出口径

 エアクリーナーケースとエアフローメーター間のパイピングは、90度のアルミ曲げパイプをそのまま使用できるのですが、エアクリーナーケース(レンジローバー純正)の出口径とパイプ径が、5mm程異なります。径が合わないだけなら、異径タイプのシリコンホースで接続すれば良いのですが、微妙に角度も異なるため、そのままではホースに負担が掛かってしまいます。

 そこでエアクリーナーケースを加工し、出口角度と径とをパイプ側に合わせることに。何か材料はないかと、近くのホームセンターに出掛けたところ、ダクト用のニップル(ジョイント)が目にとまりました。口径は異なるのですが、「抜け止め」として使えそうなビードもあり、しかも300円少々と安い!

 早速購入し、口径が70mmになるように切り詰めてから、TIGで突き合わせ溶接。中央のビード部を残して切断すると、誂えたかのような装着口に仕上がりました。これをエアクリーナーケース側に溶接すれば、カンペキでしょう、たぶん。

2010年4月28日水曜日

インテークパイプ製作

 ぼちぼちと仕上げている、A3の吸気系。アルミの曲げパイプを組み合わせて、製作してみました。

 インジェクション化に伴い、パイピングの取り回しが窮屈になっているため、エアフローメーターからスロットルボディまでのパイピングは、曲げの位置や角度を正確に決める必要がありました。
 写真左奥のパイピング、入出の角度そのものは約90度なのですが、エンジンルームとの干渉を避けるために、曲げを2箇所に分けなければなりません。そこで60度と30度の曲げパイプを用意して、TIGで溶接。パイプ表面のスクラッチを消し始めたらキリがなくなり、結局はオフセットサイザルで磨いて、鏡面仕上げになりました。

2010年4月24日土曜日

手洗い洗車

 完全分解する前に、手洗い洗車のフルコースをお願いしました。

2010年4月23日金曜日

JB23のボディ重量

 コーナーウェイトゲージに、フレームから降ろしたボディを載せて、重量を測定してみました。さらにガラスをすべて外し、完全なドンガラボディ状態にして、再び測定。
 コーナーウェイトゲージを導入するにあたっての当初の目的が、これでようやくと果たせました。

 ついでにJA11のボディも降ろして測定し、JB23のボディがどれだけ重くなったのか を、数値で確かめてみます。ここまでくると、仕事というよりほとんど「趣味」かも知れません。

2010年4月22日木曜日

エアクリーナーボックスのレイアウト

 私のA3はのオリジナルエンジンは、プジョー製の1.6リッター・ガソリンエンジン(XU5型)です。しかし、現在はエンジンを1.9リッターのXU9型に換装し、それに伴いエンジン制御もインジェクション化しています(いわゆるフルセット換装)。

 換装したXU9型エンジンは、FF(横置き)のプジョー309/205系用のものであるため、A3に縦置きで搭載するには、吸気系のレイアウトに若干の無理があります。バルクヘッドと吸気系の配管のクリアランスがミニマムなのはやむを得ませんが、意外なところで悩んだのが、エアクリーナーボックスのレイアウト。エンジン換装に伴い、純正のエアクリーナーボックスと組み合わせることができなくなってしまったのです。

 ただエアクリーナーをつけるだけというのであれば、いわゆる「毒キノコ」を吸気ホースに直付けすれば何の苦労もありませんが、水や泥の吸い込みを防ぐには、最低限エアクリーナーボックスが必要です。
 しかし、最近のクルマの樹脂製エアクリーナーボックスは、汎用性が低く流用に向きません。そこで、「いつか使うかも知れない」と保管しておいた、初代レンジローバーの純正エアクリーナーボックスを取り出してみると、何とも収まりの良いサイズなのです。本体もスチール製なので、ステーの追加といった溶接加工も容易ですし、僅かに異なるホース径の辻褄合わせも、追加工でどうにでもなります。

 さすがにインテークの取り回しにぴったりのホースを、他のクルマから探し出すのは困難ですので、エアクリーナーボックスとエアフローメーター、そしてスロットルボディの間は、アルミパイプとシリコンホースで接続していきます。

2010年4月14日水曜日

近況

 本業が立て込んでいてweblogが放置気味となっていますが、とりあえず近況報告を兼ねて写真をアップ。

2010年3月23日火曜日

車高調付

 このクルマ、トーションバーなので車高調整は自在です。

 サーキットレーサー同様、コーナーウェイトを揃えてやると走行安定性は向上しますかね?

2010年3月17日水曜日

67倍減速

 ここしばらく走りに行っていなかった山の廃道へ、SJ40で出掛けてきました。

 JB23メンテナンスブックの打ち合わせを兼ねて…という訳で、今回は(株)カマドの店長さんがJB33にて同行されました。
 JB23に比べ、何かと影の薄いJB33/43系ですが、ワイドトレッド&コイルサスの安定性とトラクションは、なかなか侮れません。SJ40はというと、とりあえずソツなく走ってくれたものの、床下から僅かながらもクラッチの焼けるニオイが…。

 というわけで、材料を確保しておきながら放置状態だった「純正流用ローギアード化」を、実行することにしました。用意していたのは、SJ30のトランスファーと、JA71の前後アクスル。既に換装されているJA71用の5速トランスミッションと組み合わせることで、Lo-1速の減速比は純正流用で最も低い67倍になる算段です。

 作業後に平坦路を試走した限りでは、Lo-1速アイドリング状態からブレーキで絞め殺しても、最後の最後までエンストせずに持ち堪えるようになりました。欲を言えばキリがありませんが、必要にして充分な減速比が得られたようです。
 アフターマーケット製のローギアキットが一般化するまでは、通好みとされた純正流用ローギアード化。ハイレンジまでローギアード化されるという弊害もありますが、局地戦闘機としてしか使っていない私にとって、このコストパフォーマンスは最大の魅力です。

2010年3月8日月曜日

機械式燃料噴射ディーゼル

 発電系統が機能停止しても走り続けられるのは、旧式ディーゼルエンジンならではのメリットでしょうか、ね?


(注)同乗者が撮影したものです。

2010年3月7日日曜日

アッパーアームのピボット位置の検証

 リアアクスルを組み上げるのにあたり、アッパーアームのピボット位置をどこに設けるべきか、検証を重ねています。基本的なサスペンションレイアウトを変更するつもりはないのですが、車高変化に対する適切な補正を行うため、アクスルチューブからの立ち上げ位置を変更しようと考えています。

 リアサスペンションのアームレイアウトは、トラクションやアンチスクオットといった車両特性を大きく左右しますが、サスペンションストローク量の大きい四輪駆動車では、ピニオンアングルの変化やスプリングマウントの位相変化といった要素についても、考慮しなくてはなりません。

 そこで、またしてもCADを使って、A3のリアサスペンションのジオメトリー変化をシミュレーションしてみました。
 もちろん、図面上だけで結果をすべて把握できる訳ではありませんが、「勘」や「なりゆき」に頼ることなく、ストローク時の各部クリアランスやアーム作動角が把握できるというのは、とにかく便利です。

2010年3月6日土曜日

重心高の実測

 車両の重心高は、車両傾斜時と平坦時のコーナーウェイトを測定し、その数値差をもとに算出します。これは「傾斜測定法」と呼ばれるものですが、現在販売されているインターコンプ社のコーナーウェイトゲージには、この重心高の自動算出モードが備えられており、三角関数を用いた複雑な計算を別途行わずとも、一瞬にして重心高(および重心位置)が表示されます。

 この算出機能を活用し、車高変化に伴う重心高の変化量を実測してみることにしました。そもそもコーナーウェイトの測定は、スケールパッドの水準を揃えることが精度を保つ上で不可欠となりますが、車両傾斜状態でこれを行うには、4柱リフトといった設備が必要となります。
 そこで、毎週取材でお世話になっている、静岡県は御殿場(株)カマドさんに伺い、10機! あるリフトの中から最も測定に適したマルチユースリフトをお借りし、ジムニーJB23を計測してみました。

 今回の測定の主目的は、車高変化に対する重心高の変化量を確認すること。ノーマル状態のJB23と、3インチアップのサスペンションを組み込んだJB23を交互に測定し、重心高を実測して比較しようというものです。両車ともにATの後期型で燃料は満タン、同一のタイヤ・ホイールを使用し、測定条件を可能な限り揃えてみましたが、努力の甲斐あってか比較的精度の高いデータが得られました。

 具体的な数値は…、4月末発売予定の「ジムニーレポート誌(4×4マガジン社刊)」をご覧頂くとして、ざっくりといえば、「サスペンションでのリフト量>重心の変化量」という、当然の結果でした。ちなみに3インチアップのJB23の重心高は、ノーマル状態での三菱ジープに近似しており、トレッドが車の挙動(安定感)に与える影響の大きさが、数値上でも裏付けられた形です。

 それにしても、各種ガードやトラクションタイヤ(といっても195R16のMT2)を装着したJB23の車重は、1.1トンの大台を超えていました。これは、ガソリンエンジンの三菱ジープ50系にも相当する数字。過去のジムニーから駆動系を使い回すのというのも、もはや限界でしょう。

2010年2月22日月曜日

アームブラケットの角度決め

 リアアクスルスワップに必要なロワアームブラケットは、すでに曲げ部材から切り出してありましたので、アクスルチューブへの固定角度を検証することにしました。

 車高の変化に伴い、アッパーアームについてはアクスル側の固定位置(高さ)を変更する予定ですが、ロワアームに関しては純正に従った位置に固定します。
 ただし、サスペンションアームを肉厚のパイプで製作し直すため、その分を見込んでクリアランスを設定し、ブラケットの位置決めを行わなくてはなりません。

 そんな時に便利なのが、いつものCADです。実車のアクスルから現物採寸したデータを入力して図面化することで、アクスルチューブとアームピボットの位置関係を容易かつ正確に求めることができます。それをもとに必要なクリアランスを与えれば、自ずと新たなブラケットの固定角度が、図面上で決められるという訳です。

 所詮加工屋さんに渡す図面ではないので、各部寸法や角度が得られれば用は足りるのですが、紙の図面では三角関数を使って計算せざるを得なかった角度が、数回のクリック操作で求められるCAD。私にとってはノギスやハイトゲージと同じく、加工の必需品となっています。

2010年2月20日土曜日

慣れ

 最近本業が立て込んでいて、更新が滞り気味であります…。

 で、毎週2日のペースで7月まで撮影予定を組んでいる、JB23のメンテナンスブックの取材。撮影場所の周辺環境はいつもこのような状態なので、感覚が若干麻痺気味です。
 珍しいクルマ(?)も頻繁に眺めていると、「稀少」という意識がなくなってしまうのは、我がA3と同じと言ったら失礼ですかね。

2010年2月11日木曜日

汎用ブレーキパイプ

 A3を組み上げるにあたり、ブレーキと燃料ラインはすべて作り直しています。本来、ブレーキは銅パイプ製、そして燃料ラインはすべてホースだったこともあり、どうも気に入らなかったのです。

 今日の自動車整備の現場では、ブレーキパイプを引き直す機会など皆無でしょうが、ある程度年数の経ったクルマにとっては、必須ともいえる作業です。フレアナットを緩めたつもりが、パイプごとまわって折れてしまったり、あるいは外部からの錆で弱くなっていたパイプを曲げたら、そこからフルードが漏れ出すといったトラブルには、幾度か遭遇したことがあります(自分のクルマではありませんが)。安全を考えれば、予防整備的に引き直しておくべきでしょう。

 ブレーキパイプは、汎用のパイプを使用することで、ことのほかリーズナブルに引き直すことができます。さすがに部品商にも常時在庫はないと思いますが、注文すればパイプ、フレアナットとも、容易に入手することができるはずです。
 一般的なのは、特殊工具メーカーとして知られるハスコー扱いのものですが、ラインナップが充実しているのはミヤコ自動車工業の方でしょうか。価格についても、広くブレーキパイプで使われている3/16インチの二重鋼管(3.7m)が定価1,650円、フレアナットも1個150円程ですから、安心を買うと思えば安いものでしょう。また、ラインナップには8mmや10mmのパイプもあるので、ブレーキのみならず燃料やパワステラインの引き直しにも使えます。

 もっとも、パイプの引き直しにはフレアリングツールが不可欠で、パイプやフレアナットといった材料より高価かも知れませんが…。

2010年2月3日水曜日

アクスルスワップとピニオンアングル

 フロントに続き、リアアクスルの換装作業に着手すべく、下準備に取りかかることにしました。

 以前フロントアクスルを組み上げた際には、ブラケットの類を切り落としたアクスルハウジングを定盤の上にのせ、角度計を使用し適切なキャスター角を設定。それに合わせてスプリングやアームのブラケットを溶接する手順をとりました。
 
 対するリアは、キャスター角の制約がないため、ピニオンアングルを基準にビルドアップしていくことになります。今回は三菱ジープのリアアクスルのハウジングに、新たに製作したスプリングの受けやアームブラケット類を、正確に位置決めしながら溶接し、組み上げていきます。

 ピニオンアングルの適正化とは、プロペラシャフトの異音や振動を抑えるために、プロペラシャフト両端のクロスジョイントの作動角を揃えることを、意味します(ダブルカルダン等の等速ジョイントを採用している場合は異なります)。
 以前、50mm程度リフトしたジムニーを実測したところ、作動角に約4°の違いが見られました。ノーマル車高での作動角は、当然ながら揃えられていますが、メーカーが設定した車高を変えるとなると、補正が不可欠となる訳です。

 この作動角を適正化するには、アーム長を調整したり、あるいは偏芯ブッシュを使用したリセッティングが考えられますが、一方でコイルスプリングの受皿やショックマウントの角度についても配慮しなくてはなりません。現実として、アクスルのブラケット類に手を入れないとなると、ある程度の線で妥協せざるを得ないのが、実状でしょう。

 対して、ブラケット類をすべて溶接し直すアクスルスワップは、こうした制約がありません。最終的な車高をもとにしたピニオンアングルが設定できるという、アクスルスワップならではの利点を生かすためにも、キッチリとしたビルドアップを行なわなくてはなりませんね。

2010年1月27日水曜日

ジムニーJB23パーフェクトメンテナンス(仮称)

 最近、プライベートな作業がやや停滞気味ということもありまして、現在手掛けている仕事について、触れてみようかと。

 というのも、昨年末よりジムニー(JB23)のメンテナンスブックの制作に、制作責任者として携わっています。実はこの企画、私自身が数年前より温めていたもので、この夏「キュリアス」誌の版元でもある(株)カマド(http://www.k-m-d.co.jp/)より出版する運びとなりました。
 メンテナンス系の出版物というと、比較的容易な内容でお茶を濁し、ヘビーユーザーにはもの足らないものとなりがちです。整備知識を持った制作者がおらず、しかも短期間で制作するとなると、そのような内容になってしまうのも無理はないのですが、そんなモノを新たに作ったところで二番煎じに過ぎず、何より私自身が納得できません。

 ということで今回の企画では、JB23をホワイトボディの状態まで分解し、フロア裏まで全塗装。機関系はエンジンからデフに至るまでフルオーバーホールし、そのすべての作業過程を誌面に盛り込む前提で、取材を進めています。それもこれも、版元の(株)カマドの基幹事業が自動車鈑金整備業(全国屈指の規模)であるからこそ可能となったもので、およそ半年という長期にわたる取材と併せて、通常は成し得ないものでしょう。

 先に本weblogで取り上げたコーナーウェイトゲージも、実はこのプロジェクトを見据えて導入したものです。ホワイトボディや、ラダーフレーム単体の重量はどれほどなのか? 個人的な好奇心もあって、完全分解しながら各コンポーネントの単体重量を、計測していくつもりでいます。

 宣伝チックになってきたついでに、もうひとつ。このメンテナンスブックと連動する形で、4×4マガジン誌の3月号からジムニー・JB23に関する連載をスタートしていますので、ご笑覧頂ければ幸いです。

2010年1月21日木曜日

トヨタな配管

 A3の水回り配管の取り回しは、スマートなものではありません。というのも、横置きを前提として基本設計されたプジョー製エンジンを、A3では縦置きで搭載しているため、配管側で辻褄を合わせざるを得ないからです。

 最もスペース的に厳しいのは、アッパーホースの取り回しです。バルクヘッド際のエンジン後端にアッパーホースを接続しなくてはならず、しかも容量の大きなサージタンクの隙間を潜らせるように、配管する必要があるのです。
 エルボホースをいくつもジョイントで接続して使うというのは、あまり好みではないので、理想に近い曲がりを持つホースを探したところ、またしてもイプサムのアッパーホースがメガヒット。なぜかA3とイプサムのアッパーホースは相性が抜群のようで、これで使うこと3本目。しかもトヨタ車の消耗部品は他メーカーに比べるとリーズナブルで、このホースも1本1300円程度と例外でなく、とても助かります。

 ラジエータ側ホース(これも同じイプサム用)との接続には、長さ300mm程のパイプが必要になります。何か良いものがないかと、在庫のガラクタを探してみたら、MR2(SW20)のクーラントパイプが出てきました。
 ミッドシップレイアウトのMR2は、車体前方にラジエータを置く都合上、水回りの配管にパイプを多用しています。そしてMR2のエンジンは、イプサムとも同じ3S系。3S系の水回り配管の口径は、A3と同じ32mmだと把握していたので、MR2の解体車からパイプを確保しておいたのが、日の目を見た訳です。
 このパイプは、錆が発生していないことや磁性を有することから、SUS430製だと思われます。端部には抜け止めのビートもあるので、そこを残し溶接で切り詰めると、希望通りの寸法が得られました。

2010年1月18日月曜日

等速ジョイントの潤滑

 オイルの極限性能が問われるようなクルマとは縁遠い当方ですが、ケミカルブランドであるWAKO'Sの製品は、いくつか指名買いしているものがあります。具体的には、エアゾールタイプのスレッドコンパウンドやリチウムグリース、そして「赤グリース」などを愛用していますが、先日仕事で使ってみたのが、以前より噂を耳にしていた「バーフィールドグリース」です。

 オンロードのサーキットカーなどで、等速ジョイントのトラブルが頻発している場合に使用すると、明らかに寿命が延びるというウワサの、このグリース。競技車両用とすることで、耐久性(経年劣化という意)を犠牲にしてまで潤滑性能を高めたとメーカーが謳うグリースは、果たしてどれだけ違うものなのか、確かめてみたかったのです。
 1kg¥8,500の缶を恐る恐る開封し、ヘラですくい上げた瞬間、違いがハッキリと分かりました。まるで納豆のようにグリースが糸を引き、納豆をかき混ぜた箸の如くヘラを空中でかき回すようにしないと、グリースの「糸」が切れないのです。潤滑性能や極圧性能の違いは、目視で分かるものではありませんが、この付着性の高さは尋常ではありません。
 走行中、ドライブシャフトは高速回転しているが故、等速ジョイント内部に押し込まれたグリースは、遠心力によって周囲に飛散しがちです。その対策として、付着性の高い専用グリースを設定しているのでしょう。四輪駆動車でのドライブシャフトの破損は、多くの場合瞬間的な衝撃による破断ですので、あまり効果は期待できないでしょうが、等速ジョイント室が疲労損壊するようなトラブルは、このグリースを使用することで「緩和」できるかも知れません。

 ちなみに当方、等速ジョイントをオイルで潤滑している英国車にも乗っていますが、オイル潤滑方式のナックルには、常々疑問を感じています。確かに、潤滑性能だけを考えるのなら「理想」のようにも思えますが、現実はスイベル部のオイルシールの耐久性が低く、気密性を継続的に確保するには構造的な限界があるといわざるを得ません。そして、オイルが失われた時のリスクの大きさ(等速ジョイント破損)をも考えると、一般的なグリース潤滑式に勝るメリットがあるとは、とても思えないのです。ディフェンダーの等速ジョイントが後年、グリース潤滑に改められたのも、賢明な判断といえるでしょう。

2010年1月12日火曜日

リモートクラッチ 2

 製作途中となっていた、ウインチの「リモートクラッチ」ですが、細かい部分を仕上げ、完成させました。

 フリーとロックの位置決めを正確に行うため、WARN純正品と同様、シャフトにノッチを設けることにしました。
 手持ちの端材の山をひっくり返してみると、ちょうど良いサイズのSUS304のパイプがありましたので、ロッドに被せるようにして装着。2本のパイプを数ミリ間隔をあけて固定することで、「溝」代わりにしようという訳です。

 この2本のパイプは位置を微調整できるように、シャフトに対してイモネジで固定。鍵穴形状に切り抜いたプレートと組み合わせることで、完全にフリーもしくはロックにした状態からでないと、切り替え操作ができないようにしました。また、走行時のガタつき防止と操作性を向上させるため、スプリングを追加しています。

 試用してみると、リンクボールの作動角の大きさが災いし、グラつき感があったので、俗にピローボールと呼ばれるタイプのロッドエンドに交換したところ、改善をみました。本来はブーツの備わるリンクボールの方が良かったのですが、さして負荷が掛かる場所ではないので、実用上の問題はないでしょう。

 操作にはある程度の力が必要ですが、ひと目で切り替え状態が分かることもあって、使い勝手は悪くなさそうです。

2010年1月11日月曜日

不可抗力

 A3のステアリングギアボックスは、ローバー(ディフェンダー)用を流用していることは以前記した通りですが、厳密には若干の加工をして使用しています。ローバーのステアリングギアボックスには、ラテラルロッドを支えるステーを固定するためのボルト穴(モールド)が設けられていますが、A3に転用する際には、そのモールドを切り落とさなくてはならないのです。

 で、イギリスから届いたパワステギアボックスに追加工する前に、とりあえず車体側に合わせてみることにしました。

 ……が、あろうことかステアリングギアボックス本体がフレームに干渉して、装着できないのです。まさかと思って何度も確認しましたが、どう足掻いても状況は変わらず。茫然自失を通り越し、もはや笑うしかありません。

 気を取り直し、フレーム側を加工したら取り付けられないかも検証してみたのですが、残念ながらそれも事実上不可能だと分かりました。最悪なことに、ステアリングギアボックスが干渉しているのがコイルアッパーブラケットのため、わずか15mmとはいえ、切り落とす訳にもいきません。逆に、干渉を避けるためステアリングギアボックスの固定位置を移動したとしても、今度はサスペンションアームとピットマンアームが干渉してしまいますし、そもそもステアリングギアボックスの固定位置を現状から移動すること自体、構造上不可能に近いのです(強度低下を無視すれば可能でしょうが、そんなリスクは背負いたくありません)。これを「八方塞がり」というのでしょう。

 もはや装着は諦めざるを得ない状況ですが、装着できない本質的な原因が分からないことには、夜も眠れません。
 パーツリストを手掛かりに調べてみて分かったのは、ディフェンダー用のパワステギアボックスそのものは、A3に設定されている「オーバーランド純正部品」と、間違いなく同一であるということ。パーツリスト上では適合するパワステギアボックスであるにも関わらず、装着できない理由。それは私のA3がパワステ設定のない時代の「極初期型」であること以外に、考えられません。

 推測するに、A3にパワステが追加設定された際(1989年頃)、ステアリングギアボックスの固定位置が設計変更され、車体前方に約15mm移動されたようです。それを裏付けるかのように、サスペンションアーム(フロントAアーム)が設計変更されており、ピットマンアームとの干渉を避ける形状となっています。このサスペンションアームの形状変更は、生産性向上を目的としたものだと思っていましたが、実際にはパワステ設定に伴うものでもあった訳です。

 そのような変更があったなら、パーツリスト上に明示されて然るべきですが、悲しいかな少量生産車ではそれも期待できず。 授業料として割り切るにはあまりに高価に過ぎますが、今回の一件は「不可抗力」なのだと、諦めるしかありません。手元に残ってしまったパワステギアボックスは…、床の間にでも飾りましょうか。

2010年1月6日水曜日

送料の内外価格差

 今回、イギリスからパワステギアボックスを買うのにあたり、真っ先に調べたのが送料のこと。何せ20kg近い荷物になるため、送料が馬鹿にならないからです。
 で、結論から言うと、今回はこちらからFedExを指定し、発送を依頼してみました。

 FedExというと、「早くて確実な代わりに料金が高い」というイメージがあります。確かに、イギリスのFedExのサイトから見積ってみると、「International Economy(約5日)」で£179.56ですから、邦貨換算¥26,500。悪名高きParcelforce(イギリスの郵便)のトラッキング付のサービスでも£152.99するので、紛失等のリスクを含めて考えると不当に高くはないものの、決して安いとはいえない金額です。
 もっともこれは、あくまで「定価」でのハナシ。「ココは安いよ」と聞いていた、イギリスの国際送料比較サイト“Parcel2Go.com” で価格を調べてみると、上記のFedExが£95.89! (¥14,200)というディスカウントプライスに。約3日で配達されるWorld Express Serviceでも£108.92でしたから、結構なダンピング率です。という訳で、このサイトを通じてFedExに集荷依頼を掛けてもらいました。

 それはそうと、時を同じくしてフランスの知人から、グランドビターラ(エスクード)の部品について問い合わせをもらったついでに、逆に日本から海外へと荷物を発送する場合の送料を調べてみることにしました。
 “Parcel2Go.com”はイギリスのサイトのため、日本からの出荷に対応していないのはやむを得ないとしても(とはいえ中国あたりは対応しているのですが…)、驚くのはFedExの「内外価格差」。日本のFedExのサイトで、イギリスまで同一条件で見積もってみたところ、「International Economy」が¥43,703也。FedExUkサイト経由でイギリスから発送した場合の1.6倍、Parcel2Go.com経由でイギリスから発送した場合の3倍以上の金額なのです。
 郵便のEMSですら¥25,300と「相場全体」が割高な日本では、競合が少ないこともあって、強気な(=足もとを見た)価格設定としているのでしょうか。もちろん、円高の為替を差し引いて考えなくてはならない部分もあるでしょうが、いかんせん同一事業者なのですから、この送料の「内外価格差」は、ちょっと度を越しているように思えてなりません。

追記>イギリスで出荷されてから59時間(2日半)で、荷物が到着しました。お礼を兼ねてイギリス人に、「ユーロスター(←昨今トラブル続き)でフランスに行くより早いと思うよ」とメールしましたが、このスピードを考えると17kgで£95.89の送料は、割安に感じられます。

2010年1月5日火曜日

パワステ化の下準備

 一時期のランドローバー/ディフェンダー用を転用していることが分かった、A3のステアリングギアボックス。追々リビルドもしくは中古のステアリングギアボックスを手配し、パワステ化しようと考えていたのですが、幸か不幸か格安な出物があったので、押さえることになってしまいました。

 この年式のランドローバー/ディフェンダーは、日本国内にはほとんど輸入されていないため、中古部品についても国内調達は限りなく不可能です。また、仮に中古品が見つかったとしても、年式が年式ですので、リビルド前提と考えなければなりません。
 そこで、中古の格安物件をイギリスで探していたところ、未使用のリビルド品(日本語が変ですが「購入後装着しないで保管していた、リビルドメーカー品」という意)を持っているイギリス人と交渉が成立。彼の地のリビルドというと、若干クオリティに不安があるのですが、日本までの送料を含めても、現地リビルド品相場(コアチャージ含)と同等もしくはそれ以下の金額に収まりましたので、まあ良しとしましょう。

 パワステギアボックスが届くまでの間に、配管についても少し調べてみました。ギアボックス本体と同様、ホースについても純正部品としてメーカーから買うことはできるのですが、送料や送金手数料等を考えると、できれば日本国内で調達したいところ。そこで、汎用油圧ホースの口金と、ローバーのパワステギアボックスの油圧ポート双方の規格を確認してみると、ちょうど良さそうな変換アダプターが存在することが分かりました。
 AN規格であれば、AeroquipやEarl's等にもパワステ用ホースやフィッティングがラインナップされていますが、信頼性を考え今回は国内の油圧ホース屋さんで製作してもらう予定です。