2010年1月11日月曜日

不可抗力

 A3のステアリングギアボックスは、ローバー(ディフェンダー)用を流用していることは以前記した通りですが、厳密には若干の加工をして使用しています。ローバーのステアリングギアボックスには、ラテラルロッドを支えるステーを固定するためのボルト穴(モールド)が設けられていますが、A3に転用する際には、そのモールドを切り落とさなくてはならないのです。

 で、イギリスから届いたパワステギアボックスに追加工する前に、とりあえず車体側に合わせてみることにしました。

 ……が、あろうことかステアリングギアボックス本体がフレームに干渉して、装着できないのです。まさかと思って何度も確認しましたが、どう足掻いても状況は変わらず。茫然自失を通り越し、もはや笑うしかありません。

 気を取り直し、フレーム側を加工したら取り付けられないかも検証してみたのですが、残念ながらそれも事実上不可能だと分かりました。最悪なことに、ステアリングギアボックスが干渉しているのがコイルアッパーブラケットのため、わずか15mmとはいえ、切り落とす訳にもいきません。逆に、干渉を避けるためステアリングギアボックスの固定位置を移動したとしても、今度はサスペンションアームとピットマンアームが干渉してしまいますし、そもそもステアリングギアボックスの固定位置を現状から移動すること自体、構造上不可能に近いのです(強度低下を無視すれば可能でしょうが、そんなリスクは背負いたくありません)。これを「八方塞がり」というのでしょう。

 もはや装着は諦めざるを得ない状況ですが、装着できない本質的な原因が分からないことには、夜も眠れません。
 パーツリストを手掛かりに調べてみて分かったのは、ディフェンダー用のパワステギアボックスそのものは、A3に設定されている「オーバーランド純正部品」と、間違いなく同一であるということ。パーツリスト上では適合するパワステギアボックスであるにも関わらず、装着できない理由。それは私のA3がパワステ設定のない時代の「極初期型」であること以外に、考えられません。

 推測するに、A3にパワステが追加設定された際(1989年頃)、ステアリングギアボックスの固定位置が設計変更され、車体前方に約15mm移動されたようです。それを裏付けるかのように、サスペンションアーム(フロントAアーム)が設計変更されており、ピットマンアームとの干渉を避ける形状となっています。このサスペンションアームの形状変更は、生産性向上を目的としたものだと思っていましたが、実際にはパワステ設定に伴うものでもあった訳です。

 そのような変更があったなら、パーツリスト上に明示されて然るべきですが、悲しいかな少量生産車ではそれも期待できず。 授業料として割り切るにはあまりに高価に過ぎますが、今回の一件は「不可抗力」なのだと、諦めるしかありません。手元に残ってしまったパワステギアボックスは…、床の間にでも飾りましょうか。

5 件のコメント:

  1. 切ないですね・・・。入念な下調べして大枚叩いたのに使えないとは・・・。

    ウチのも「大枚叩いた欠陥車(フロントのリンクが)」なんでちょいとブルーです。「オーバーランド式フロントAアーム化」が最もやりやすくて夢がある対策ではないかと思い、CCV誌・ボールジョイント・現車と睨めっこしてます。

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  2. 少量生産車の極初期型は、限りなくプロトタイプに近いようで。トホホ…。

    それはそうと、「フロントAアーム化」ですか。夢が現実となることを、お祈りしております。

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  3. 早速某方面で書いてみたら「右ハンドル用ですか?」というご質問が。
    品番で右か左かわかりそうなもんですが、そっちでわかりますか?

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  4. たかむらさん
    お手数をお掛けしてしまい、恐縮です。
    右ハンドル用でございます。

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  5. でもご購入には至らなさそうみたいですねえ>その方

     それでは、この方はどうでしょう?JLRCの方から紹介頂きましたってメールしてみては如何でしょうか?
    http://www.geocities.jp/bdhdk713/おレンジのおと。高山在住の方です。私は直接喋ったことはないのですが原村で見かけたことのある方です。
     中途半端なシール交換の記事がHPのどこかにあってもしかしたら消化不良のままでオイル漏れが進行している・・・ようなことがあれば売り!でしょう。もっともギアボックスが合えば、ですが。

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