2009年11月24日火曜日

スワップミート

 連休最後の月曜日は、ウォーターメインガレージさん主催のスワップミートに出掛けてきました。

 親しくさせて頂いている方からお誘いを受けたこともあって、「コーナーウェイト測定1000円!」なるブースをオープン。一部「シリアスなヨンマル乗り」な方々の車を中心に、ほぼフル稼働で測定させて頂きました。

 コーナーウェイトに興味を持たれる方の車はというと…、やはりBJ41アルミボディ、ヨンマル系エンジン換装車(1PZ、3VZ、5VZ)など「原形を留めていないもの」ばかり。中には前後コイルとなったヨンマルもあって、スケールに載せながら下回りを覗いているだけでも飽きません。

 測定結果は「個人情報」ですので公表は控えておきますが、サスが「左下がり」になっているような車では、コーナーウェイトの数値にハッキリと「理由」が現れていました。また、バッテリーを荷台に移動した車は、その効果が数値で裏付けられていましたので、スケールの周囲に人だかりができる場面も。
 ドライバーが乗車した際の荷重変化、あるいはオーバーハングに重量物を載せた時の変化を確かめてみたりと、車種こそ違えど当方も有意義なデータが得られた1日でした。

2009年11月21日土曜日

エアコンプレッサーO/H

 ARBエアロッカーの純正エアコンプレッサーは、これまで数度モデルチェンジされていますが、現在A3に組み合わせているのは比較的古いタイプ。現行モデルよりもモーターやタンク容量が大きいことから、歴代モデルの中で最良との声もありますが、トラクションタイヤのエアチャージに使うにはいずれにしても能力不足ですので、酷使は禁物です。

 エアロッカーの作動には、2キロ程度の空気圧で事足りるとはいえ、インナーパーツの供給が望めない古いコンプレッサーなだけに、一度分解点検しておくことにしました。

 オイルレスコンプレッサーの定石に従って、ピストンリングは樹脂製。使用率を超えて酷使すると、樹脂製のリングが溶解してトラブルを招いてしまうこともあるようですが、そのような痕跡もなく、シリンダーにもキズはありませんでした。
 ただし、内部に水が浸入したためか、クランクの「メインベアリング」に相当するシールドベアリングの状態を確認すると、回転に引っかかりが感じられました。そこでベアリングの品番を検索してみると、国内でも流通している汎用サイズでしたので、いつものMonotaROに発注。わずか数百円ですので、躊躇なく交換できます。

 この世代のコンプレッサーは、「クランクケース」周囲にシール等が設けられておらず、内部に水分が比較的入りやすい構造となっています。スペースの都合から床下に固定することもあって、一応の対策として液体ガスケットを使用して組み上げてみましたが、効果の程はさていかに。

2009年11月18日水曜日

プロのお仕事

 「ミスファイヤの原因がプラグだと思ったら、ハイテンションコードが寿命だった」。そんなクルマの「誤診」は珍しくもありませんし、診断に迷うことも分かりますが、今回家族が遭遇したのは、お医者の誤診。あやうく開腹手術されるところでした。


 「本当は今日、手術なんだからね」と、嫌みを聞かされながら朝イチで紹介状を書いてもらい、サードオピニオンを求めて大病院へ。
 血液検査の後、大病院の医師が下した診断は

「1週間ほど静かにしていれば大丈夫。手術なんて必要ないですし、薬も出しません」。

 えっ…?



 検査数値や学術書等をもとに、診断の根拠をきちんと説明して頂いたので、安心はしたものの、素直に喜べない私たち…。医師も苦笑いしていましたから、まあ、そういうことなのでしょう。手術の覚悟を決め、入院準備を整え、医療保険の申請準備までして診断に望んだ私たちが、馬鹿でした。

 しかも、自信たっぷりに「誤診」してくれたセカンドオピニオンの病院には、医療費を過大請求されていたことも発覚。ホント、医療不信に陥ってしまった1週間でした。ああ、疲れた…

2009年11月11日水曜日

コーナーウェイトとバネ上荷重

 スケールパッドレベラーを製作したので、A3の車重を測定してみました。

 作業途中の状態のため、冷却水や燃料が入っておらず、また一部部品が装着されていない状態ですが、ウインチを積んだ状態で1,124.5kgという結果でした。以前、コーナーウェイトゲージを借りて測定した時は1,137kgと表示されましたが、この12.5kgの違いは測定誤差ではなく、未装着部品に相当するウェイトをもう少し多く積んで測定したからでしょう。
 測定は純正のアクスルを装着した状態でしたが、作業完了時の車重は前後のアクスルをスワップし、またロールケージを組み直すことを考えても、1,200kg程度に抑えられそうです。
 
 ちなみに空車状態でのコーナーウェイトの実測値(各輪の荷重)は、フロントが(L:305.5kg R:313.0kg)、リヤが(L:247.5kg R:258.5kg)でした。実際にはドライバーが乗りますし燃料やスペアタイヤも積載しますので、数値としてはあまり参考にならないものですが、平面上の重心位置はフロントアクスルの後方1012mm、左タイヤ中心を基準として682mmの位置だと表示されました。これはちょうど、ドライバーの膝の右脇あたり。体感的なバランスは、重心位置とドライバーの着座位置との兼ね合いによっても左右されますので、実際に数値化してみると面白いものです。

 もうひとつ注目すべきは、左右の重量差。これはデフのオフセットに伴うもので、以前アクスル単体を測定した際の左右重量差と、ほぼ一致します。すなわち、バネ上荷重の左右バランスが非常に揃った車であることを示しています。

2009年11月10日火曜日

スケールパッドレベラー

 先日導入したコーナーウェイトゲージを使用するために、パッドレベラーを製作しました。

 コーナーウェイトゲージは、4枚のスケールパッドをそれぞれのタイヤの下に敷き、ケーブルで本体(表示ユニット)と接続して使用します。このため、4枚のスケールパッドの水準を揃えないと、正確な測定が行えず、測定誤差が発生してしまいます。つまり、巨大な定盤の上で測定するのが理想ということになりますが、現実はそうもいきません。

 そこで、スケールパッドの設置高を微調整し、水準を合わせるためのベース「パッドレベラー」が、純正アクセサリーとして販売されています。これを買えば解決なのですが、お値段が立派過ぎるので、アングル材とアジャストボルトを買い込んで、製作したという訳です。

 4枚のスケールパッドの水準は、レーザーレベルと水準器を使用して合わせます。セッティングに時間は掛かりますが、いくら高精度のゲージ(測定誤差0.1%)を使っても、水準が揃っていないようでは無意味ですので、そこはやむを得ないところでしょう。

2009年11月6日金曜日

アンダーソンコネクター

 先日頂いたポータブルウインチに、ちょっとした「いいもの」が付いてきました。バッテリーからの電源ケーブルを接続するための独特のコネクター、通称「アンダーソンコネクター」です。

 ポータブルウインチの電源ケーブルだけでなく、レースカーの始動用バッテリーの接続等にも使用されていますが、もちろん自動車専用品ではなく産業用の汎用品。元は米・アンダーソン パワープロダクツ社の製品であることから、「アンダーソンコネクター」と呼ばれているようです。用途としては自動車より、むしろバッテリーフォークリフトやゴルフカートの充電ケーブルに多用され、「業界基準」となっていることから、GSユアサのカタログにも掲載されています。

 このコネクターの優れている点は、オス・メスの区別がないにも関わらず、誤接続を物理的に不可能としている、独特のハウジング形状(構造)にあります。同じコネクターどうしが接続できるというのは、現物を見ないと理解し難いのですが、これがなかなか良くできています。車に用いられるのは、通常175Aもしくは50Aのアンダーソンコネクターですが、2極のハウジングはコンパクトで操作しやすく、脱着補助用のハンドルを取り付けたり、車体に固定するためのボルトホールも設けられています。事実上のデファクトスタンダードとなっているのも、使ってみれば納得です。

 以前に比べると、日本国内でも入手しやすくなったアンダーソンコネクターですが、まだまだ高価なのが難点です。そこで海外の事情を調べてみると、かなりの「内外価格差」があることが分かりました。送料は知れているので、必要に応じてアメリカから取り寄せれば、もう少し気軽に使えそうです。

 もっとも、現実としてウインチをポータブルで搭載する以外に、これといった使用法がある訳ではないのですが、バッテリーのジャンプケーブルの一端をこのコネクターにしておけば、作業もスムーズに行えるはずです。電装系の信頼性に乏しく、しかもバッテリーがシート下に押し込まれているような「特定車種」では、重宝するかも知れません。

2009年11月5日木曜日

「角度計」は万能ツール

 車のシャシー、とりわけサスペンションに手を入れる上で必要不可欠となるのが、角度計です。最近では高精度のデジタル式も安くなりましたが、私が以前から使用しているのは、単純なアナログ式のものです。

 アクスルスワップの際のキャスター角の設定を含め、このアナログ式の角度計をこれまで使ってみた限りでは、想像以上に正確です。日本ではシンワ測定(株)が取り扱っているこの角度計は、中国だか台湾のメーカーがAcuAngleという名称で製造しているものですが、自動車のレース用品として扱うメーカーもあるくらいですから、そこそこの精度が出ているのだと思います。

 それはともあれ、角度計が役立つ場面は多岐にわたります。例えば、サスペンションをリフトした際のキャスター角の変化や、プロペラシャフトの作動角も、これひとつで確認できます。最小読取値0.2°、角度精度±0.6°という測定精度も、シャシーの組立精度を考えれば必要にして充分ですが、奥まった部分など、目盛りが読み取りにくい所で測定する場合には、やはりデジタル式の方が便利でしょう。

 今回は、A3のロワーアームのフレーム側ピボットの角度を、再確認してみました。ローバーも同様ですが、アーム端が貫通するピボットのプレート部とロワーアームは、設計時の想定車高で90°(直角)になるよう、作られています。このため、スプリングを交換して車高が変化すると、串刺部分のブッシュに負荷が掛かり、早期の劣化を招くことにもなりかねません。
 これを補正するには、アーム端の角度を調整する、つまりアームを途中で曲げる等の加工が必要になります。そして、どれくらいアームの角度を修正すれば、適正な補正値が得られるかを算出するにあたり、ベースデータとなるのが、この角度計による実測値なのです。

2009年11月4日水曜日

良心なきプラスチック化

 知り合いからポータブルウインチを頂きました。アメリカではATVやトレーラー用として売られている、WARNの3,500ポンドクラスのものです。

 しかし、頂いておきながら言うのも何ですが、あまり嬉しくないのです。というのも、この3,500ポンドのWARNのウインチは「使えない」ことで有名というか、悪名高いものなのです。その理由が能力不足というのならともかくも、ギアの一部がプラスチック製という、およそ信じられない構造のため、耐久性が著しく劣るというのです。

 噂はかねがね耳にしていましたが、内部構造を目にしたことがなかったので、怖いもの見たさで早々に分解。遊星ギアはさすがに金属製でしたが、その遊星ギアが収まるハウジング(ギアケース)は、噂通りプラスチックでできていました。「3,500ポンド」というスペックを真に受けてジムニーあたりで「マトモに」使ってしまったら、これではひとたまりもないでしょう。

 一時話題となったスズキの原付・チョイノリのエンジンは、カムがプラスチック製だそうですので、構造体への樹脂の使用はもはや驚くことではないのかも知れません。しかし、オーバーロードも予想されるウインチのギアが、一部とはいえプラスチック製というのは、いくらなんでもやり過ぎです。

 ちなみに、最近のWARNのラインナップを見ると、このシリーズはモデルチェンジされ、新たにRTシリーズとして販売されています。RTシリーズの内部構造は見たことがありませんが、願わくばオールメタルであってもらいたいものです。

2009年11月3日火曜日

互換

 XJチェロキーのフロントプロペラシャフトを入手したのを機会に、ユニバーサルジョイントやフランジの規格や互換性について、調べてみることにしました。

 A3のプロペラシャフトに使用されているユニバーサルジョイントは、トランスファ側とデフ側とでサイズが異なります。デフ側は一般的な規格サイズである「SAE-1310」で、TJや三菱ジープ(ナロウ)とも共通なのですが、トランスファ側はあまり一般的ではない「1300」なのです。このように、プロペラシャフトの両端で、使用するユニバーサルジョイントのサイズを変えることは、通常ありません。あえてそのようにした理由が分からずにいましたが、今回ようやくその謎が解けました。

 A3のトランスファ(AUVERLAND A80型)のコンパニオンフランジの寸法を調べた結果、ボルトパターン(50.8×60.3mm)やセンターパイロット(勘合部)の寸法を含め、ローバーのものと完全互換でした。そして、手元にあるディスカバリーのプロペラシャフトを確認すると、使用されているユニバーサルジョイントは、案の定「1300」。
 つまり、ローバー互換のコンパニオンフランジを採用したトランスファに接続するため、A3のプロペラシャフトのトランスファ側ヨークは、ローバーのプロペラシャフトと同一のヨークを使用しているのです。
 一方、当時のA3のアクスルはダナ準拠のGKN製でしたので、デフ側には「1310」を使用したのでしょう。いうなれば、プロペラシャフトで「辻褄合わせ」をしていたことになります。

 調べてみるとローバーのユニバーサルジョイントは、80年代後半に「1310」から「1300」へと「サイズダウン」されているようで、より高負荷に耐える「1310」サイズのユニバーサルジョイントを使用した社外のダブルカルダンプロペラシャフトが、アメリカなどで販売されています。
 ローバー用のフランジは、スパイサーの汎用品にはラインナップされていない特殊サイズです。しかし、調べ上げた結果、スパイサーのダブルカルダンハウジングに組み合わせることのできる、ローバー用サイズのCVフランジを単品で販売している所が見つかりました。
 
 つまり、このローバー用CVフランジを入手し、先のXJのフロントプロペラシャフトに組み合わせれば、A3にボルトオンで装着できるダブルカルダンプロペラシャフトが、完成するという訳です。