2009年12月28日月曜日

リモートクラッチ

 フロントミッドシップレイアウトにより生まれたスペースを活用し、当方のA3はエンジンルーム内に電動ウインチを装着しています。エンジンルーム内といっても、フロントアクスルの真上にあたる位置に搭載しているため、当然そのままではクラッチの切替レバーが操作できません。

 そこで以前から、フロントグリル下で遠隔操作する方法を検討していました。ひとつの案として、1/4inのラチェットハンドル用のユニバーサルジョイントを使用し、延長したロッドを回転して操作する方法を考えていたのですが、改めてWARNのサイトを見ると、ロッドを押し引きすることで遠隔操作するタイプの「リモートクラッチ」なる製品がありました。

 実は、この「押し引き操作」タイプも以前検討したことがあるのですが、クランクを用いる構造上、クラッチレバーの回転角が180度に届きません(押し切らない/引き切らない)。本来のクラッチレバーの作動角は180度ですから、これでは角度が不足する、つまり切替が確実に行われない(中途半端となる)恐れがあると、懸念していたのです。ただ、純正品として販売されているのであれば問題はないのだろうと思い、手元にあったウインチのカットモデルを使って検証したところ、実用上問題ないことが確認できました。

 で、製品の構造を参考にし、早速製作してみることにしました。まずはウインチのレバーを根本からカットして、キャップボルトを溶接。さらにボルト断面を、位置決めのためD字型に切削した上で、A2024のフラットバーから切り出したクランクを組み合わせました。ロッドはメンバー等との干渉を避けるには何カ所も曲げざるを得ないので、剛性を確保する目的でSUS304を選択。また関節部にはリンクボール(ロッドエンド)を使用することで、遊びを最小限としてみました。

 完成まであと1歩のところで時間切れとなってしまいましたが、試しに操作してみると、問題なく動作しました。これでウインチのクラッチ操作は、フロントグリル下の「握り玉」を押し引きすることで、確実に行えるようになるでしょう。

2009年12月25日金曜日

LUG-ALLの分解

 一部で有名な、アルミ製のハンドウインチ・ラグオール。必要にして十分な引きしろと牽引能力を持ち、また比較的軽量であることから、オフロードでのリカバリーに愛用しています。

 当方は、十数年前から使用している「ノーマル機」の他に、ポリエチレンロープへと巻き替えた「ファイバーロープ仕様」の2台のラグオールを使い分けているのですが、このうち「ノーマル機」には、迅速巻き上げ用のハンドクランク(ハンドル)が備わっていませんでした。
 このハンドクランクは、引き出したロープをテンションが掛かるまで、スピーディーに巻き上げるためのもので、注文時に選択できる「メーカーオプション」なのです。

 試用してみると分かりますが、とにかく実用的なオプションであるため、「ノーマル機」にも後から追加装着しようと、必要な部品を入手していました。しかし、ハンドクランクを装着するには交換しなくてはならない、肝心要のセンターシャフトが、簡単には抜けないのです。いや、正確にはセンターシャフトの抜け防止のために打ち込まれているピンを、打ち抜くことができなかったのです。
 通常であれば、スプリングピンが使われているであろう箇所なのですが、補修部品を見てみると、いわゆる「平行ピン」の中央にセレーションを刻んだような形状となっており、分解することは想定していない構造のようです。

 ピンポンチで打っても抜けず、やむを得ずドリルで揉んでいたらキリが途中で折れてしまい、そうこうしている内にもう1台入手したこともあって、作業未完のまま使い続けて早数年…。先日ふと思い出し再度作業を試したところ、技術の向上もあってなのか、あっけなくピンをドリルで揉み取ることができました。
 部品を組み込むにあたっては、スプリングピンに置き換える予定でしたが、ちょうど良いサイズの在庫がなかったので、補修部品のピンを加工。後からピンポンチでも抜き取れるようにしましたので、清掃や注油も容易に行えることでしょう。

2009年12月23日水曜日

4BOLTと6BOLT

 A3を維持していくにあたり、使用されている部品の「流用元」を特定することは、大きな意味を持っています。例えば、ステアリングギアボックスのようなコンポーネント。これをメーカーから部品で取り寄せるとなると、新品しか選べませんが、仮に流用元を特定できれば、新品のみならずリビルド品や中古品まで選択肢が広がり、維持費の軽減へとつながるからです。

  A3のパワステギアボックスは、ローバー用を転用したものであることは把握していましたが、最近になって正確な流用元を特定するに至りました。それは、初期のディフェンダーに使用されている“6BOLT”と呼ばれるもの。この“6BOLT”とは、ステアリングギアボックスのトップカバーを固定しているボルトの本数のことで、ディスカバリー等に使用されているものは“4BOLT”といったように、区別して呼ばれています。

  この“6BOLT”と“4BOLT”タイプのステアリングギアボックス、基本的には取付互換性があるのですが、それはあくまでディフェンダーやレンジローバー、ディスカバリーに装着する場合に限ってのこと。フレームへの固定法がローバーとは異なるA3には、ステアリングギアボックスのケーシングに貫通穴が開いている“6BOLT”タイプしか、装着できないのです(写真下の“4BOLT”タイプは「止まり穴」になっているため、A3には装着不可)。

 ちなみに英国のローバー乗りの間では、容量の小さい“6BOLT”タイプのパワステギアボックスは不人気で、“4BOLT”タイプに交換するのが一般的となっているようです。そういえばランクル80系の初期モデルでも、ピットマンアームが取り付けられているセクターシャフトが「捻れる」というトラブルが多発したくらいですから、強化型に交換する必然性があるのかも知れません。
 もっとも、“6BOLT”タイプが弱いというのは、車重2tのローバーで使用した場合であって、A3で使用するには必要十分なものと思われます。

2009年12月15日火曜日

インスタントレタリング

 A3にエアロッカーを装着するにあたり、ひとひねりしたかったのがスイッチの処理。エアロッカーのキットには専用のスイッチが付属していますが、どうも「とってつけた感」が好きになれない性格でして、以前ジムニーに装着した際にも、あえてキャリイの純正デフロックスイッチを組み合わせていました。

  A3の運転席の雰囲気にマッチするよう、今回は汎用のトグルスイッチに防水ゴムキャップを組み合わせて使用することにしましたが、そのためには作動状態を表示するためのインジケーターを、別途設ける必要があります。そこで、A3のメーターパネルに備えられた、ヘッドライトやウインカーなどのインジケーターに、デフロックのインジケーターを追加して並べることにしました。
 しかしながらA3のインジケーターは、個々が独立した構造の汎用品とはいえ、デフロック用のインジケーターは用意されていません。そのため、「グロー」のインジケーターを部品で取り寄せ、表示を書き換えて使用することにしました。

 インジケーターの表示を「DIFFLOCK FRONT」と「DIFFLOCK REAR」に書き換えるために用いるのは、懐かしきインスタントレタリング(レタリングシート)。たまたま立ち寄った文具の老舗・銀座の伊東屋で見つけ、サイズ違いの数枚を購入しましたが、商品棚には取扱を中止する旨の張り紙が…。調べてみると、これがもはや絶滅寸前のアイテムだったのです。

  かつては、どこの文房具屋にも並んでいたインスタントレタリングは、テプラやワープロ、パソコンの普及とともに市場を失い、いつの間にか店先から姿を消していました。現在、国内で発売しているのは、わずか1、2社のみとなってしまったようです。

2009年12月11日金曜日

タイロッドエンドの作動角

 三菱ジープとCJ7のタイロッドを並べてみて判明したのが、三菱ジープ用タイロッドエンドの作動角の小ささ。CJ7のものと基本的なサイズは同じなのですが、その作動角には大きな違いがあります。

 タイロッドのように、作動角が問われない箇所に使用する分には何ら問題となりませんが、リフトに伴いどうしても角度がついてしまうリレーロッドで使うには、作動角を考慮した上で選定する必要があります。
 本来であれば、国産品の方が品質面でも安定しており、またミリネジであることから、三菱ジープ用を使いたいところですが、この分だとリレーロッドの両端だけは、CJ7用のタイロッドエンドを使わざるを得ないでしょう。

 ちなみにCJ7用のタイロッドエンドのネジ部は、11/16-18のインチネジ。軽く調べてみると、アメリカでは正/逆ネジタップとも比較的安価に入手できるようです。

2009年12月10日木曜日

タイロッドの切り詰め

 先日入手した三菱ジープのタイロッドを、実際にCJ7のアクスルに組み合わせてみました。

 長さを比べてみると、CJ7のアクスルに三菱ジープのタイロッドを装着するには、20mmほど切り詰める必要があると分かりました。
 で、タイロッドを切断するにあたり、どれほどの深さで内ネジが切ってあるのか確認してみると、残念ながらほとんど余裕がありません。つまり、内ネジも切り足さないとならない訳です。
 幸いにして、切断する側は順ネジ。とはいえ、M18-P1.5というサイズの細目ネジですので、タップを持っていません。それだけのためにタップを購入するのもロスなので、いつもの加工屋さんに持ち込んで、「格安」にて切り詰め・ネジ切り加工をして頂きました。

 ただし、ひとつ大きな懸念があります。というのも、ナックルアームに対するリレーロッドの作用点が本来よりも根本寄り、つまりナックルの操舵の支点であるキングピンに近くなるため、ハンドル操作が重くなってしまうことが予想されるのです。

 もっとも、アクスルスワップに伴いキャスターを意図的に立たせていますし、パワーステアリングの装着も視野に入れているので、最終的な操舵力は試走してみないと判断できません。もしハンドル操作があまりに重くなってしまったら、本来のレイアウトをベースに、リレーロッドの取り回しを再検討することにしましょう。

2009年12月9日水曜日

5BOLTと6BOLT

CJ7のハブには、5BOLTと6BOLTの2種類が存在します。年式でいうと1981年までが6BOLT、それ以後が5BOLTとされています。

 A3で使用するために用意したCJ7のアクスルは、元々6BOLTのタイプでしたので、これまであまり気に留めていなかったのですが、ふと気になって手持ちの部品在庫を確認すると、2種類のハブが出てきました。
 ここでいうボルト数とは、フリーハブやソリッドフランジをハブ本体に固定している、PCD: 3-7/16inchのボルトの数のこと。三菱ジープでも6本ですが、CJ7はモデル途中で5本に減らされているのです。その理由は、どう考えてもコストダウン以外に思いつきませんが、もちろん強度面では本数が多いに越したことはありません。
 このハブのフランジボルトには、減速されたエンジンのトルクが掛かるため、デフロック等のデバイスを装着し、大減速のギアレシオで大径タイヤを回したりすると、時として破断することがあります。実際、アメリカのCJユーザーの間では、6BOLTタイプのハブに換装するのが一般的のようですが、その理由はフランジボルトの破断対策に他なりません。

 それはともあれ、部品として入手したこのハブ、よく見ると鋳型の中心にネジ穴があいていない(もしくはネジ穴位置と鋳型が合っていない?)のは、実用上問題ないにしても気持ちの良いものではありません。製造国は記されていませんでしたが、ボルトの代わりにハブ本体が破断…なんてことは、勘弁願いたいものです。

2009年12月4日金曜日

三菱なタイロッド

 CJ7のフロントアクスルを組み込むにあたり、ちょっと悩んでいたのがステアリングリンクの処理。A3の純正アクスル(GKN製)のナックルアームまわりは、CJ7のアクスル(DANA30)に酷似しているため、ロッド類の長さだけ調整すれば「付くことには付く」のですが、フルストローク時にリレーロッドのボールジョイント(ナックル側)の作動角にあまり余裕がありません。そこで、何らかの対策を考えていたのです。

 CJ7のステアリングリンクというと、アメリカではハイクリアランスタイプの社外品が販売されています。しかし、ナックルアームのテーパー穴をストレート加工した上で、汎用のロッドエンド(ピローボール)を組み合わせるものだったりするので、個人的に今ひとつ信頼が置けず、触手がのびませんでした。

 そこで、三菱ジープ(ワイド)の純正ステアリングリンクを試してみることにしました。というのも、三菱ジープのリレーロッドはタイロッド(正確には右側タイロッドエンド)に直接接続されており、その接続方向からしてボールジョイントの作動角の制約が少ないのです。もちろん、バンプステアやロールステアを考慮するのなら、リレーロッドはナックルアームに接続し、できるだけ長さを確保すべきですが、そこはオフロードでの性能を優先するということで、割り切ります。

 当然ながら三菱ジープは右ハンドルなので、左ハンドルのA3とはリレーロッドの取り回しが逆となります。そのため、本来であれば辻褄が合わないはずなのですが、幸いにしてナックルアームに対してタイロッドの取り付く方向が、三菱ジープとCJ7のアクスルでは「逆」なのです。
 つまり、三菱ジープはナックルアームの上側にタイロッドが固定されているのに対し、CJ7のアクスルは下側に固定されます。よって、三菱ジープのタイロッドを「天地裏返し」にすれば、CJ7のアクスルにスワップした左ハンドルのA3に装着できるという、何とも都合の良い按配なのです。

 定規をあててみると、若干三菱ジープのタイロッドの方が長いようですが、何とか加工で済むレベル。ピットマンアームに固定される、リレーロッドのボールジョイントの作動角を検証した上で、リレーロッドを制作すれば、うまく装着することができそうです。

2009年12月3日木曜日

コレクターズミーティング

 先週末は、浜松で開催されたコレクターズミーティングに、参加させて頂きました。

 今回は、訳あって当方のガレージで一時お預かりしていた三菱ジープを、関西の仲間へお渡しするため、ミーティングには三菱ジープで参加しました。
 ブレーキの片効きがあまりに酷く、とても自走できる状態でなかったため、急遽当方でお預かりして修理させて頂くことになった、このジープ。クロカンで酷使されていた車両なので、多少修理をしたところで決して万全とはいえない状態でしたが、固着していたホイールシリンダーを中古品に交換し、なんとか通常走行に支障のないレベルにまで修理させて頂きました。
 事前にテストドライブを繰り返していたこともあり、結局ノントラブルで仲間の待つミーティング会場に到着することができ、ほっと一安心。 久々に「緊張感」を伴うドライブでしたが、500kmあまりの「ジーピング」は、それはそれで楽しかったというのが本音かも知れません。

 ミーティングでは、シリアスな方々とディープな話題で盛り上がり、作業のモチベーションを「急速充電」することができました。2週続けての「遠征」でしたので、さすがに疲れが残っていますが…。