2010年2月22日月曜日

アームブラケットの角度決め

 リアアクスルスワップに必要なロワアームブラケットは、すでに曲げ部材から切り出してありましたので、アクスルチューブへの固定角度を検証することにしました。

 車高の変化に伴い、アッパーアームについてはアクスル側の固定位置(高さ)を変更する予定ですが、ロワアームに関しては純正に従った位置に固定します。
 ただし、サスペンションアームを肉厚のパイプで製作し直すため、その分を見込んでクリアランスを設定し、ブラケットの位置決めを行わなくてはなりません。

 そんな時に便利なのが、いつものCADです。実車のアクスルから現物採寸したデータを入力して図面化することで、アクスルチューブとアームピボットの位置関係を容易かつ正確に求めることができます。それをもとに必要なクリアランスを与えれば、自ずと新たなブラケットの固定角度が、図面上で決められるという訳です。

 所詮加工屋さんに渡す図面ではないので、各部寸法や角度が得られれば用は足りるのですが、紙の図面では三角関数を使って計算せざるを得なかった角度が、数回のクリック操作で求められるCAD。私にとってはノギスやハイトゲージと同じく、加工の必需品となっています。

2010年2月20日土曜日

慣れ

 最近本業が立て込んでいて、更新が滞り気味であります…。

 で、毎週2日のペースで7月まで撮影予定を組んでいる、JB23のメンテナンスブックの取材。撮影場所の周辺環境はいつもこのような状態なので、感覚が若干麻痺気味です。
 珍しいクルマ(?)も頻繁に眺めていると、「稀少」という意識がなくなってしまうのは、我がA3と同じと言ったら失礼ですかね。

2010年2月11日木曜日

汎用ブレーキパイプ

 A3を組み上げるにあたり、ブレーキと燃料ラインはすべて作り直しています。本来、ブレーキは銅パイプ製、そして燃料ラインはすべてホースだったこともあり、どうも気に入らなかったのです。

 今日の自動車整備の現場では、ブレーキパイプを引き直す機会など皆無でしょうが、ある程度年数の経ったクルマにとっては、必須ともいえる作業です。フレアナットを緩めたつもりが、パイプごとまわって折れてしまったり、あるいは外部からの錆で弱くなっていたパイプを曲げたら、そこからフルードが漏れ出すといったトラブルには、幾度か遭遇したことがあります(自分のクルマではありませんが)。安全を考えれば、予防整備的に引き直しておくべきでしょう。

 ブレーキパイプは、汎用のパイプを使用することで、ことのほかリーズナブルに引き直すことができます。さすがに部品商にも常時在庫はないと思いますが、注文すればパイプ、フレアナットとも、容易に入手することができるはずです。
 一般的なのは、特殊工具メーカーとして知られるハスコー扱いのものですが、ラインナップが充実しているのはミヤコ自動車工業の方でしょうか。価格についても、広くブレーキパイプで使われている3/16インチの二重鋼管(3.7m)が定価1,650円、フレアナットも1個150円程ですから、安心を買うと思えば安いものでしょう。また、ラインナップには8mmや10mmのパイプもあるので、ブレーキのみならず燃料やパワステラインの引き直しにも使えます。

 もっとも、パイプの引き直しにはフレアリングツールが不可欠で、パイプやフレアナットといった材料より高価かも知れませんが…。

2010年2月3日水曜日

アクスルスワップとピニオンアングル

 フロントに続き、リアアクスルの換装作業に着手すべく、下準備に取りかかることにしました。

 以前フロントアクスルを組み上げた際には、ブラケットの類を切り落としたアクスルハウジングを定盤の上にのせ、角度計を使用し適切なキャスター角を設定。それに合わせてスプリングやアームのブラケットを溶接する手順をとりました。
 
 対するリアは、キャスター角の制約がないため、ピニオンアングルを基準にビルドアップしていくことになります。今回は三菱ジープのリアアクスルのハウジングに、新たに製作したスプリングの受けやアームブラケット類を、正確に位置決めしながら溶接し、組み上げていきます。

 ピニオンアングルの適正化とは、プロペラシャフトの異音や振動を抑えるために、プロペラシャフト両端のクロスジョイントの作動角を揃えることを、意味します(ダブルカルダン等の等速ジョイントを採用している場合は異なります)。
 以前、50mm程度リフトしたジムニーを実測したところ、作動角に約4°の違いが見られました。ノーマル車高での作動角は、当然ながら揃えられていますが、メーカーが設定した車高を変えるとなると、補正が不可欠となる訳です。

 この作動角を適正化するには、アーム長を調整したり、あるいは偏芯ブッシュを使用したリセッティングが考えられますが、一方でコイルスプリングの受皿やショックマウントの角度についても配慮しなくてはなりません。現実として、アクスルのブラケット類に手を入れないとなると、ある程度の線で妥協せざるを得ないのが、実状でしょう。

 対して、ブラケット類をすべて溶接し直すアクスルスワップは、こうした制約がありません。最終的な車高をもとにしたピニオンアングルが設定できるという、アクスルスワップならではの利点を生かすためにも、キッチリとしたビルドアップを行なわなくてはなりませんね。