A3のエンジンはプジョー製で、FFモデルの乗用車に搭載されているものです。つまり、横置きで設計されたエンジンを、A3では縦置きに搭載していることになります。
ガソリンモデルのA3に当初搭載されていたのは、プジョー205/309等に設定されていた、1,580ccのXU5型。XU5型にも多くの仕様がありますが、A3に搭載されていたのはシングルキャブレターのベーシックなモデルでした。そこで、A3を入手して早々に、XU5型のストロークアップ版にあたる309GTi用のXU9型(1,905cc・130ps)へ、インジェクションシステムごと換装してしまいました。
そもそもガソリンモデルのA3のバルクヘッドは、一部が大きく切り開かれており、ディストリビューターを室内側へと食い込ませる形で、逃がしています。このように、もともとエンジン後端とバルクヘッドとのクリアランスに余裕がないA3に、インジェクション仕様のXU9型を換装するには、補機や配管の取り回しを変更しなくてはなりません。
そのひとつが、インジェクション制御用の水温センサーです。本来は、サーモスタットハウジングからエアミックス式のヒーターコアに向かう配管上に位置するのですが、それではバルクヘッドと干渉してしまうのです。そこで、センサーの設置場所を移動しようと考えていましたが、A3のヒーターはリヒート方式(シーズンバルブが付くタイプ)ということもあり、最も確実なサーモスタットハウジングにタップを立て、センサーを打つことにしました。
いわゆるフロントミッドシップレイアウトを採るA3は、エンジンが室内側に大きく食い込んでいるため、エンジン後端の整備はウニモグやハマーと同様、室内側から行います。今回加工したサーモスタットハウジングは、ディストリビューターの固定部まで一体構造となっていますが、その脱着も室内側から問題なく作業できます。サービスホールも必要にして充分な面積が確保されていますので、センターカバーを外す手間さえ惜しまなければ、整備性は悪くない…と思います。
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