A3のトランスミッションは、エンジンと同じくプジョーから供給を受けたもので、型式名・BA7型。このトランスミッションは、プジョー最後のFRモデル・505に採用されていたものです。
BA7型は、2リッタークラスの乗用車を想定した、ライトデューティーなトランスミッションです。分割式のケース構造や結合ボルトの少なさを見ても、剛性面で優れているとは言えず、ロックピン式のシンクロメッシュを採用していることからも、旧世代のトランスミッションという印象を受けます。それもそのはず、BA7型は505だけでなく、その先代の504から使われ続けているトランスミッションなので、60年代に基本設計されたものなのです。
このBA7型トランスミッションの美点をあえて挙げるなら、整備性と部品の入手性に優れていることでしょうか。分割式ケース構造の利点で、15分もあればケースとギアトレーンを分解することができ、しかも特殊な工具は一切必要ありません。また、オイルシールはすべて規格品であるため、メーカー純正品ではなく汎用のオイルシールを使用できます。補修部品も世界的に見れば入手は容易で、504や505は本国での生産終了後も、極々最近までアフリカや中国で生産されていましたから、当面部品の供給に問題はないでしょう。
ちなみに、一時期のジープYJに使用されていた「プジョーミッション」ことBA10型は、BA7型の兄弟機にあたります。極少数生産された2.1リッターディーゼルモデルのA3には、BA7型に代わり、BA10型のトランスミッションが設定されていましたので、ベルハウジングの取付互換性はあるのかも知れません。
2009年9月11日金曜日
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