車両の重心高は、車両傾斜時と平坦時のコーナーウェイトを測定し、その数値差をもとに算出します。これは「傾斜測定法」と呼ばれるものですが、現在販売されているインターコンプ社のコーナーウェイトゲージには、この重心高の自動算出モードが備えられており、三角関数を用いた複雑な計算を別途行わずとも、一瞬にして重心高(および重心位置)が表示されます。

この算出機能を活用し、車高変化に伴う重心高の変化量を実測してみることにしました。そもそもコーナーウェイトの測定は、スケールパッドの水準を揃えることが精度を保つ上で不可欠となりますが、車両傾斜状態でこれを行うには、4柱リフトといった設備が必要となります。
そこで、毎週取材でお世話になっている、静岡県は御殿場(株)カマドさんに伺い、10機! あるリフトの中から最も測定に適したマルチユースリフトをお借りし、ジムニーJB23を計測してみました。
今回の測定の主目的は、車高変化に対する重心高の変化量を確認すること。ノーマル状態のJB23と、3インチアップのサスペンションを組み込んだJB23を交互に測定し、重心高を実測して比較しようというものです。両車ともにATの後期型で燃料は満タン、同一のタイヤ・ホイールを使用し、測定条件を可能な限り揃えてみましたが、努力の甲斐あってか比較的精度の高いデータが得られました。
具体的な数値は…、4月末発売予定の「ジムニーレポート誌(4×4マガジン社刊)」をご覧頂くとして、ざっくりといえば、「サスペンションでのリフト量>重心の変化量」という、当然の結果でした。ちなみに3インチアップのJB23の重心高は、ノーマル状態での三菱ジープに近似しており、トレッドが車の挙動(安定感)に与える影響の大きさが、数値上でも裏付けられた形です。
それにしても、各種ガードやトラクションタイヤ(といっても195R16のMT2)を装着したJB23の車重は、1.1トンの大台を超えていました。これは、ガソリンエンジンの三菱ジープ50系にも相当する数字。過去のジムニーから駆動系を使い回すのというのも、もはや限界でしょう。